貨幣についてのメモ
medium of exchange, store of value, unit of account
ビットコインの価格安定性のお話。価格があまりに不安定だということをもって貨幣としてダメだというような話をよく見かけるけど、個人的にはそれ自体は致命的な問題ではないように思う。貯蔵に適した貨幣ではないというだけのことであって、そういう貨幣があってもいい。
— Kentaro Hara (@xharaken) 2017年8月3日
一般論として、貨幣の機能には「価値交換機能」「価値貯蔵機能」「価値尺度機能」があって、実際、円やドルやユーロはこの3つの機能を兼ね備えている。でも、この3つの機能を同一の貨幣で実現しなければならない必然性はないし、むしろしないほうが良い可能性さえある。
— Kentaro Hara (@xharaken) 2017年8月3日
たとえば、「価値交換機能」にとっては、貨幣を即時に交換できる流動性が要求されるけど、流動性が高い貨幣は投機に弱いわけで、価格が安定せず貯蔵目的としては使えない。逆に、貯蔵目的に使える貨幣が欲しければ、価格を安定させるために流動性を絞る必要が出てくる。
— Kentaro Hara (@xharaken) 2017年8月3日
つまり、「価値交換機能」と「価値貯蔵機能」は本質的に矛盾したことを要求していて、むしろ別の貨幣で実現させるほうが自然な姿かもしれない。貯蔵のための貨幣と、ふだんの交換のための貨幣。使う側からしても、資産を形成する貨幣と、ふだん使いの貨幣が違ってもたぶんそんなに不便はない。
— Kentaro Hara (@xharaken) 2017年8月3日
(同アカウント引用)
価値が乱高下する理由はいくつかある気がしてて、1) その貨幣が表象している価値の循環回路がしっかりしていないから(=商品経済圏が成立していないから)、2) 流動性が高いために短期的な投機に弱いから、3) 安定的な貨幣供給のしくみが存在しないから、とかあるのかなと思います。
あとおもしろいのは、おそらく商品経済圏の成立は、貨幣にとっての絶対条件じゃないんですよね。交換機能に特化した貨幣を目指すのなら、資産間の「ブリッジ通貨」として機能すればよくて、実物経済圏がなくても(そういう)貨幣として存続できる可能性はあるような気がします。